国外財産調書の提出義務化と富裕者層に対する当局の対応
平成26年より国外財産調書制度が始まりました。国外財産調書制度とは「その年の12月31日において、その価額の合計額が5千万円を超える国外財産を有する居住者は、翌年3月15日までに当該財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した国外財産調書を、税務署長に提出しなければならない」という制度です。
そして、平成27年1月1日より、いよいよ罰則規定の適用も始まりました。当該罰則は、国外財産調書の「意図的な不提出」を摘発し、海外財産の申告漏れを阻止することに効果を発揮すると考えられています。そもそも、国外財産調書制度における罰則規定は、正直に提出を行った納税者との公平性を保つことを趣旨としています。このような趣旨のもと、税務当局は下記のような取り組みを始めています。株式報酬、不動産投資等、海外での投資活動に対する税逃れを防がなければならならないというコンセプトのようです。なお、Vest等した株式の年末時点の時価が5,000万円を超える場合は、国外財産調書の提出が必要となりますので、注意が必要です(平成25年12月末以降)。
富裕者層に対する当局の現状関連記事
【2014年7月11日 朝日新聞より引用】“『大金持ちの税逃れ、許しません 国税に専門チーム、海外投資を監視』富裕層の中でも、より資産や所得がある人たちの投資活動の情報などを専門的に集め、脱税や税逃れを監視する「超富裕層プロジェクトチーム」が東京、大阪、名古屋の各国税局に10日、発足した。高度な節税策を利用した富裕層による国際的な税逃れが問題になる中、富裕層の実態を調べて税務調査のノウハウを蓄積し、課税に結びつける狙いがある。「超富裕層」について、国税当局は税務調査に支障があるとして調査対象となる基準を明らかにしないが、例えば、国内外に数十億円規模の資産を持ち、積極的な投資活動をしている会社役員や投資家らが対象になるとみられる。東京局では、税務調査の方針を決める課税総括課に専従の担当者7人を配置。所得、相続、法人税の経験豊富な調査官のほか、マルサで知られる査察官も加わった。大阪局は「富裕層対応本部」を設けて5人が担当、名古屋局も「対策班」を設置する。いずれも初めての試み。国税庁も支援チームをつくる。プロジェクトチームは、富裕層による海外での資産運用が増えている現状を踏まえ、富裕層の中でも上位の人たちの投資活動や外国金融機関への送金状況などを分析し、税逃れがないか情報収集する。低税率の国に移住する人が増え、節税策も高度になっているため、その実態を把握し、効果的な税務調査を検討する。
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