■ 夢なき者に・・・。
1月4日からスタートしたNHK大河ドラマ「花燃ゆ」。吉田松陰の妹の杉史の視点から幕末をとらえたドラマです。
初回の平均視聴率は16.7%(関東、ビデオリサーチ調べ)と大河ドラマにおいて歴代ワースト3位で始まった同作ですが、個人的には、吉田虎次郎(松陰)演じる伊勢谷雄介さんが結構はまっていると感じるし、人間描写の仕方がちょっと今までの大河ドラマのアプローチと違うなと感じるところもあったりと、なかなか面白いと思って今後の展開を楽しみにしているところです。
吉田松陰は、あまりにも有名ですし、特に幕末好きの人にとっては松陰の残した言葉を知る人も多いと思います。
松下村塾の門下生をはじめ、長州藩にとどまらず全国の幕末志士に精神的影響を与えた松陰の言葉は、やはり心に響くものが多いです。当時の時代背景における松下村塾が果たした役割については、人によって見方が分かれると思いますが、純粋に松陰の言葉だけを見れば、日々の生活や仕事をしていく上で現代でも通じる普遍性があると感じます。
また、松陰は人の心に火をつける名人でもあったと思います。
松陰の言葉には、企業経営をしていく上で大変参考になる言葉がたくさんあります。
例えば、下記のような名言です。
自分の価値感で人を責めない。一つの失敗で全て否定しない。長所を見て短所を見ない。心を見て結果を見ない。そうすれば人は必ず集まってくる。
世の中には体は生きているが、心が死んでいる者がいる。反対に、体が滅んでも魂が残っている者もいる。心が死んでしまえば生きていても仕方がない。魂が残っていれば、たとえ体が滅んでも意味がある。
過ちがないことではなく、過ちを改めることを重んじよ。また、松陰の口癖とも言える『孟子』の言葉もグッときます。
至誠にして動かざる者は未だ之れあらざるなり。松陰の名言をもっと知りたい方は参考までに下記の動画をご覧ください。
夢なき者に理想なし、しびれますね~。
理想なき者に計画なし、
計画なき者に実行なし、
実行なき者に成功なし。
故に、夢なき者に成功なし。
前回の投稿「人の心を動かすコミュニケーションとは?」で、サイモン・シネックのゴールデンサークルとWHYの持つ力について考察しました。
僕が好きな松陰の言葉を改めて見返してみると、松陰がWHY、HOW、WHATというゴールデンサークルと同じ思考プロセスをしていたことが分かります。
松陰の言葉は、日本(語)式のWHY、HOW、WHATとも言えるのではないかと。
僕自身、さほど吉田松陰について詳しくないのですが、伊藤博文、山縣有朋、高杉晋作、木戸孝允(桂小五郎)など、松陰から何らかの学びを得た人物たちが、なぜ、あの時代にあれほど活躍することができたのかということに大変関心があります。
どうやって松陰が人を感化させ、その人の成長を促したのか。
ビジネスや経営にも通じるポイントが隠れている予感がしますよね。
ここで、現代のビジネスシーンを考えてみたいと思います。
私たちのクライアント企業も含めて、多くの中小企業の社長さんから以下のような声を聞きます。
「社員が動かないんだよね」
「理念を伝えている(つもりなんだ)けど、イマイチ浸透しないんだよ」
「もっと社員と一体感を持って事業を成長させたいんだ(けど、なんか上手くいかない)」
次に、社員が動かないのはなぜかを考えてみたいと思います。
■ 社員が動かない・・・。のは、なぜ?
私たちのクライアント企業の中にも「より成長したい」「もっと、いい会社にしたい」と考える社長がたくさんいます。そのような社長は、経営方針発表会などの機会を作って社員の方々にビジョンを語ったり、日々の仕事の中や仕事あがりにお酒を酌み交わしながら今後の事業展開を伝えたりして、社員の方々を鼓舞しようと努力されています。
それはとても素晴らしいことだと思うし、そんな社長と一緒に仕事ができたら、とても楽しいです。
でも、そのような努力をしている社長さんたちからですらも、「社員が動かない」という声をよく聞きます。
社長は我が社のビジョンをどのように語っているのでしょうか。
“この業界・市場の現状はこうだ。将来こうなる。
そこに、すごいビジネスチャンスがあるんだ。
僕らは、そのマーケットにこういうアプローチで、
こういうサービスを提供していこう。
そうすることで、お客様がもっと喜んでくれる。
結果、僕たち自身の成長にもつながるし、皆もっと高い給料も取れるようになる。
みんなが幸せになれる。
とても意義のあることだろう?”そのような話を聞いたときは、確かに意義のあることだと感じます。
とてもビジョナリーなプランだとも感じます。
でも、やっぱり社員が動かない。
なぜでしょうか?
「なんで社長はそこまでするの?」「何のためにするの?」という夢や理想(WHY)が語られないからです。
例えば、上記のような社長の話を聞いた社員はどう思うでしょうか。
「この業界にはチャンスがあるし、給料も高くしたいと社長が言ってくれている。
僕らのことを色々と考えてくれているんだな。いい社長だな。よし、頑張ろう」
と、ほとんどの社員がその場では感じると思います。
でも、それはあくまで「社長の夢であり、社長が自分たちにしてくれること」であって、「自分が心底やりたいこと」ではないからです。
さらに言えば、業績は少なからず景気の波にも影響されますよね。
そうならないような仕組みを作ったり、先手を打つのが経営とも言えますが、リーマンショックのような、ある意味人為的災害とも呼べるようなものが生じて、業績が急下降する事態も起こりえます。3.11のような天災が起きれば尚更です。
何らかの理由で業績が悪化すれば、給料を上げるのは難しくなります。
あるいは、もしチャンスがあると説明していた業界が地殻変動を起こし、想定していたチャンスが消えてしまったらどうなるでしょう?
世界規模でイノベーションを起こすような新興ベンチャーが、その破壊的イノベーションで業界の勢力図を短期間のうちに一気に塗り替えてしまったら?
チャンスだと思っていたことが、ピンチになったら?
それによって事業を撤退せざるを得なくなったら?
様々な事情が絡んでいたとしても、なかなか給料が上がらなかったり、ビジネスチャンスが消えてしまったりしたら、社員の心はどうなるでしょうか。
社長への「希望」から、徐々にまたは一瞬にして「失望」に変わります。
前回の投稿やTEDで、サイモン・シネックの動画を見た人はお気づきのはず。
なぜ、キング牧師(マーティン・ルーサー・キング・ジュニア)は社会に対してあれだけの影響力を持つことができたのか?
公民権運動家は他にもたくさんいたはずなのに。
なぜキング牧師の演説のある日に、全米中の至るところから黒人も白人も含めて25万人もの人々がワシントンに集まったのか?
キング牧師のスピーチの出だしを思い出してください。
I have a dream.(私には夢がある) であって、
I have a plan. (私にはプランがある)ではないんです。
上記の社長が語っているのは我が社のビジョンではなく、プランなんです。
本当の意味でのビジョン(夢や理想)を伝えていないんです。
会社を良くしようとたくさんのプランを考えている社長であれば、
一つひとつのプランにつながっている核となる考え(WHY)が存在するはずだと思います。
社長が「僕はこうしたい」「私たちはこうなれると信じている」という考え(WHY、夢、理想)を社員の方々に顕わにして欲しいと思います。
賛同・共感をした社員の気持ちは、どう変化するでしょうか。
「僕もそうしたい」
「私もそうなりたい」
と感じるようになります。
つまり、社長のビジョン(夢や理想)が、「社長のもの」から「僕の夢、私の理想」となります。
あるいは、残念ながら、僕は社長の考えとは相容れない、という人も出てくるかもしれません。
いずれにしても、社長が語るビジョンが「僕の夢、私の理想」となった瞬間に、社員が変わると思いませんか。一人ひとりの社員が変われば、会社が変わると思いませんか。
ここで、再度、松陰の言葉に戻りましょう。
夢なき者に理想なし、社長の夢とリンクされた「僕の夢、私の理想」を持った社員こそ、会社のためでもなく、社長のためでもなく、まさに自らのために動き出していくと僕は信じています。
理想なき者に計画なし、
計画なき者に実行なし、
実行なき者に成功なし。
故に、夢なき者に成功なし。
仕事をするモチベーションが「僕の夢、私の理想」のためという人が集まり、皆が同じベクトルを向いたチームであれば、高い意欲を継続的に維持し、一人ひとりが高いパフォーマンスを発揮するようになるのは、自然なことだと思います。
是非、社長には、社員に本当の意味でのビジョンを語っていただきたいです。
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